ひばリンピック

青空の下、ひばりが丘を駆け抜けたランナーの笑顔 「ひばリンピック2022」ついに開催!

投稿者: カテゴリー: 暮らし オン 2022年12月29日

 2022年10月9日、ひばりが丘団地(東久留米市、西東京市)で「ひばリンピック2022」というリレーマラソン大会が行われた。主催したのは「ひばリンピック大会事務局」。ひばりが丘団地エリアの住人有志の組織だ。2020年11月、2022年2月、3月、新型コロナウィルス感染状況をみて3度延期されたこのイベントに、ついに実施の時が訪れた。(写真は、青空の下、駆け抜けるランナーたち)

 

 

天気も上々、ワクワクする気持ちをおさえて

 

 大会事務局のメンバーは朝6時半から準備を始めた。スタートとゴール地点となったのは、ひばりが丘のコミュニティ施設ひばりテラス118(西東京市)。大会本部の設置から、撮影、配信の準備、30人近い協力スタッフへの伝達など、多岐にわたる準備が整然と行われていた。

 8時になるとエントリーしたランナーが続々と集まってくる。1周1.56kmの周回コースをチームで10周する対抗戦。9つに色分けされたどのチームも大人、子どもが混じっている。幼稚園年長組や未就学児は親の伴走が必須となるが、1.56kmを走れれば小学1年生も1人前のランナーとカウントされる。総勢88人、そのうち小学生以下は44人だという。

「こんなに大勢の小さい子たちが1.56km、団地エリア1周できるなんて」と驚くと同時に、 どれくらい大変なことか試してみたくなり、コースを走ってみた。

 コースの途中にはすでに誘導員がスタンバイしていた。直線的に走っていると結構きつい。あの人の所までがんばろう、という気持ちで走る。角を曲がると次の人を探す。誘導員は安全を守る以上に、ランナーを励ます役割が大きいな、と実感しながらなんとか走り終える。日頃走っていない筆者にとってはジョギング程度のスピードでも結構きつい距離だった。

 このところ、ひばりが丘団地エリアでは、日中、夕方、夜間、走っている人をよく見かけた。お父さんと子どもが一緒に走っている姿もあった。この日のために練習していたんだね、完走目指してがんばろうね、と思うと同時にこちらまでワクワクしてきた。

 ひばりテラス118に隣接する西けやき公園では開会式が行われた。ゲートとなる横断幕は 子ども、大人の有志で手作りした。

 大会事務局の一人尾形さんの開会宣言、飯さんの挨拶を小さい子も真剣にきいている。子どもランナーたちの可愛い選手宣誓で、「さあ、いよいよ」という緊張感が高まった。

 

いよいよスタート!全力で走る、応援する。

 

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大会本部付近。ランナー、スタッフ、観客で溢れる

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第一走者、一斉にスタート

 

 ひばりテラス118の周辺道路は交通規制が敷かれた。スタート地点にはランナーや観客が集まっている。チームの襷をかけ第一走者がスタート!まっすぐ、まっすぐ駆けていく。

 初めの曲がり角には二人の誘導員。車のドライバーに挨拶しながら、ランナーに曲がることを示し、大きな声をかける。「ペース配分!」「いいぞ、いいぞ」どんなに元気が出ることだろう。

 

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大活躍の誘導スタッフ

 

 西東京市立中原小学校の先生たちが走る。生徒も走る。同じマンションのおじさんが走る。学校の同級生が走る。兄弟が走る。お父さんが走る。お母さんが走る。きゃあきゃあと声をあげて、楽しそうにしていた子どもたちに話を聞いた。

 

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手作りのプラカード。作るのも楽しかった!

 

 紫色のリボンをつけたありさちゃんとピンクのリボンのももかちゃん。チームは違うが2人は同じ学校に通う仲良し。どれくらい練習していたの? と聞くと週一回くらいかな、と答えた。自分は走り終わったが、応援に余念がない。知っている人がまだまだ走るようだ。小さな地域のイベントならではの熱のこもった応援だ。

 お父さんと一緒に拍手で迎えられる幼児、全力を尽くし必死の形相でゴールする中学生、バテバテの大人ランナー、本当に幅広い年代のランナーがいた。団地に住む高齢の人たちは「小さい子があんなに頑張って…」と目を細めていた。

 レースは「紫チーム」が優勝した。

 

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公園での表彰式

 

 レース中に話を聞いたありさちゃんは紫チーム。飛び上がって喜んでいた。授賞式後に話を聞くと、「とても楽しかった!次も走りたい」と言った。一緒にいた友達も「今日は走らなかったけど、次は走りたい」と話していた。

 

リーダーが何人も生まれた

 

 大会事務局メンバーで「紫チーム」の第一走者だった青木由美子さん(60)に話を聞いた。

 自分の走りの後はバトンゾーンでテキパキとランナーたちを誘導していた。表彰式では受賞して戸惑う参加者へ声をかけ、晴れの姿を観客にお披露目した。3月まで教育機関で働き、退職したという。その場を臨機応変に仕切る姿が見事だったが、先生という経験が生かされていたわけだ。

 4年半前にこのエリアに引っ越してきて、マンションの管理組合の1期目の理事を務めた。理事同志のつながりから次第に地域に知り合いが増え、外に出れば誰かに会う、そんな状態になっている、と話した。「以前住んでいたマンションではこんなつながりはなかった」と言った。

 大会事務局のメンバーの多くはこのエリアの「ランチーム」に入っていた。マンション横断的なメンバーで作られたこのチームは、西東京市リレーマラソンに参加して一般の部で優勝の実績もある。ほとんどのイベントが開催されなくなった2020年、「自分たちでやってみよう」という声が上がったことが発端となり、大会事務局が組織され、「ひばリンピック」は計画された。

 リアルでの集まりが難しい中、オンラインで会議は重ねられた。問題が生じても、前向きに解決方法を考えた。大人の、社会人の集まり。経験や知見を持ち寄り、それぞれの個性と特性が生かされる場となった。話し合いの過程で「小さなリーダー」が何人も生まれた。「そこが重要だと思うのよ。誰か一人がリーダーではなく、それぞれが責任感を持って動く。職場とは違う感じで。とても楽しい大会事務局でした」と青木さんは話した。

 

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閉会の挨拶をする大会事務局長照屋さん(右)、青木さん(中央)、飯さん(左)

 

 参加者が答えたアンケートには、大会事務局の労をねぎらう言葉や、今後の課題、感謝の言葉が多くみられた。その中に「地域への愛着がわいた」という言葉があった。目に見えない「つながり」がこのエリアの特徴となって、これからのコミュニティを育てる原動力になることを感じさせる言葉だと思えた。
(渡邉篤子)(写真は筆者提供)

 

【関連情報】
・市民の小さな一歩が街に大きな熱狂を生み出した ひばリンピック~リレーマラソン~の奇跡(「AERU」第21号
・ 自主企画イベント「ひばリンピック(リレーマラソン)」の奇跡とは(まちにわひばりが丘

 

渡邉篤子
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