下野谷遺跡で第17回縄文の森の秋まつり 竪穴式住居で古代に思い馳せる
西東京市東伏見にある国史跡の下野谷(したのや)遺跡整備地で10月8日、「縄文の森の秋まつり」が開催された。市民に公募していた同整備地の愛称が「したのや縄文の里」に決まり、発表もされた。秋晴れの下、過去最高となる約1300人の市民らが駆け付け、復元された竪穴式住居を体感するなど、さまざまな縄文体験を楽しんだ。
■遺跡整備地の愛称は「したのや縄文の里」に
秋まつりは今年で17回目。オープニングセレモニーでは子供たちによる「したのや縄文体操」の披露に続いて、同整備地の愛称が発表され、入り口に設置された愛称板の除幕式が行われた。129件の応募作から市文化財保護審議会委員らが選考し、市内の小原純雄さん、瀧島俊さんの「したのや縄文の里」を採用。この日、小原さん、瀧島さんに記念品が贈られた。
セレモニーでは、縄文ファッションに身を包んだ池澤隆史市長が「4000~5000年前に人々がここで実際に生活をしていたその思いを、未来に向けて残していく。それが私たちの役割」とあいさつ。さらに木村俊二教育長が「西東京市のみならず東京都、国の財産として守り育てていきたい」、市議会の森信一副議長は「縄文の森が皆さんの憩いの場、出会いの場であることを願います」などと祝辞を述べた。
■「こんなおうちだったんだ」意外に快適
会場では、今年3月に復元された竪穴式住居2棟の公開が人気に。普段は展示のみだが、この日は実際に中に入って縄文の家体感も。住居はクリの木と土で作られ、大人には狭い入り口を腰をかがめて入り、短い階段で内部へ。中は一間で約20人が入れるスペースに炉、天井には明かり、換気のための窓もある。部屋の温度も適度に保たれ、意外に快適。子供から「おうち、こんなだったんだ」のつぶやきも漏れた。
家族で訪れた40代男性は「子供たちは遠足で来ていたようですが、私は初めて。この家で雨風しのげるのだろうかとか心配になりますが、昔、ここにも生活があったんだなと思いを馳せました」と感慨深げに話していた。
■ファッションで「原始的な気分」
このほか参加・協力団体による和太鼓やオカリナなどの演奏もあり、来場者は音楽を聴きながら、各種ブースで火おこし、勾玉作り、布作り、藍の生葉こすり染め、弓矢、石器パフォーマンスなどに挑戦したり、出土遺物の展示・解説やスタンプラリーを楽しんだりした。会場で縄文の衣装を試した40代女性は「縄文人になったみたいで原始的な気分ですね」と笑っていた。
下野谷遺跡は、4000~5000年前の縄文中期の環状集落遺跡。武蔵野台地の一角の石神井川の隣接地域にあり、1975年ごろまでに調査発掘を終え、現在は遺跡部分を地下に埋蔵して、跡地を公園として活用。2015年に国史跡に指定され、市では2020年から、「みんなでつくる、つなげる都市部の縄文空間」として「したのや縄文里山プロジェクト」を推進し、施設の充実などを進めている。
(倉野武)
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