小平市の障害者福祉施設で職員が利用者を虐待 報道きっかけに表面化

投稿者: カテゴリー: 健康・福祉 オン 2023年10月20日

 小平市小川町の社会福祉法人「ときわ会」(遠山陽子理事長)が運営する障害者福祉施設で一部の利用者が職員から身体的・心理的な虐待を受けていたことが明らかになり、小平市と同法人は10月17日、虐待の概要などを公式ホームページ上で公表した。小平市は市議会の求めに応じて10月23日の全員協議会で議員に詳細を説明する。

 

社会福祉法人「ときわ会」

社会福祉法人「ときわ会」が本部を置く作業所(小平市小川町)

 

 問題は共同通信が10月15日に配信した記事によって表面化した。記事はときわ会が運営する通所事業所やグループホームにおけるダニの発生が虐待の「放棄・放置」(ネグレクト)に当たるとして職員2人が昨年12月、小平市に通報したにもかかわらず、担当課が受け付けを拒否していた、と音声データとともに報じた。また同法人では9月に解任された男性理事による暴言、暴行をはじめ「複数の職員による知的障害者への暴行や暴言が長期間、続いていた」と報道。翌16日には虐待の内部通報者を小平市がときわ会に漏らした疑いを伝えた。

 小平市障がい者支援課は、ひばりタイムスの取材に対して「相談や通報を受ければ対応する。受理を拒否することはない」と報道内容を否定。ときわ会は「ダニ発生に関しては市から改善要請があり、乾燥機を設置するなど対処した」と話した。情報漏洩については両者とも「そうした事実は一切ない」と否定した。

 報道を受けて、ときわ会は17日、公式ホームページで「ときわ会に対する虐待報道について」と題する文書を掲載した。ダニの発生については「居室利用者や他の現場職員の声が全く反映されていない点もふまえ、今後内部の調査を行い事実を明らかに」するとし、役員や複数の職員による虐待行為については「自治体の調査と虐待認定の判断を仰ぎながら、第三者委員会でも調査をすすめます」と記している。

 

小平市健康福祉事務センター

障がい者支援課がある小平市健康福祉事務センター

 

 小平市も17日、報道と市議会の要請を受けて、ときわ会をめぐる虐待通報に対して、同法人が運営する12施設の職員へのアンケート調査と聴き取り調査の結果を公式ホームページで公表した。昨年度は3件の通報のうち1件を虐待と認定。今年度は現時点で2件の「心理的虐待」を認定して東京都に報告した、とした。虐待の被害者や具体的な内容、通報者などについて、障がい者支援課は「守秘義務があり明らかにできない」と話している。

 障害者福祉施設などで虐待が発生した場合、その調査や事実確認、指導などは原則的に、被虐待者が居住する市町村が担う。昨年度の虐待について、ときわ会は今年6月、公式ホームページで報告している。同法人によると、昨年度、2つのグループホームでそれぞれ職員による利用者1人(小平市在住)への「身体的虐待」と、利用者1人(東村山市在住)への「心理的虐待、放棄・放置」が各市にそれぞれ認定された。

 これを受けて法人内の虐待防止委員会と有識者からなる第三者委員会が調査した結果、「身体的虐待」については両委員会とも認定したが、「心理的虐待、放棄・放置」については第三者委員会が認定しなかった。しかし、虐待が疑われた職員の口調がきついなどの言動は両委員会で確認しているため、業務改善計画に沿って人事異動、研修の強化、勤務体制の改善を実施した、としている。

 社会福祉法人「ときわ会」は1978年に創立。6つのグループホームと6つの通所事業所を運営し、知的障害や肢体障害、精神障害がある障害者が生活する場、働く場を提供している。
(片岡義博)

 

【関連情報】
・障害者虐待の通報受理を拒否(47NEWS
・ときわ会に対する虐待報道について(社会福祉法人ときわ会
・市内社会福祉法人にかかる虐待通報について(小平市
・法人内における虐待事案についてのご報告(社会福祉法人ときわ会
・ときわ会での虐待に関する報道について(第 2 次)(社会福祉法人ときわ会

 

片岡義博
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