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駄菓子屋さんが「製菓リレー」 走った軌跡はハート型

投稿者: カテゴリー: 交流・共生楽しむ オン 2018年3月24日

駄菓子でできた食べられるトーチ

 西東京市の「駄菓子屋ヤギサワベース」と東久留米市の「だがしやかなん」が3月12日、「だがしの日」を記念して「製菓リレー」を敢行した。19kmの行程を3時間かけて走るイベントはどのように進んだのか。「市民ライターになる講座」に参加した渡邉篤子さんの報告です。(編集部)

 

 駄洒落で生まれた「製菓リレー」

 3月12日午前9時。「製菓リレー」に参加する大人たちが西東京市保谷町のヤギサワベースに集まり始めた。少し肌寒いが、走るにはちょうど良い気温だ。通りかかる人たちと「今日は『駄菓子の日』です」などの会話が生まれる。

 ゼッケンやたすきを作り、駄菓子でできたトーチを取り出した。大人でも思わず掲げてみたくなる。「DAGASHIで世界を笑顔にする会」から送られた。9時30分。6人が自転車とランでヤギサワベースを出発した。

 

ヤギサワベースチームの出発!

 

 西武新宿線西武柳沢駅にほど近いヤギサワベースから、滝山団地方面を巡り、東久留米市の北部、東部を経てヤギサワベースまで戻ってくるルート。途中、西東京市芝久保町のFM西東京に寄り、東久留米市幸町の「だがしやかなん」で小休止した。ここからは「かなん」チームもランに加わる。東久留米市役所では職員に歓迎と激励を受け、通りかかった小学校や保育園では子供達に「駄菓子の日」をアピールした。ヤギサワベースに戻ったのは12時30分。3時間にわたる製菓リレーは無事終了した。全長19km。その軌跡は「笑顔をつなぐ製菓リレー」を表現するハート型になった。

 

走った跡はこんな形になりました(GARMIN社の地図管理ソフトで作成)

 

 西東京市ひばりが丘から参加したランナーの佐藤洋平さんは「駄菓子のトーチを持って走るという経験は当然初めてでなんだか恥じらいを覚えるかと思いきや、満更でも無いな、と童心に帰った気分。ランナーも先導もサポート隊もみんなとても楽しそうに街の中を駆け抜けました」と話した。「『笑顔をつなぐ』というテーマを皆で体現しならがら走れたのではないでしょうか」とも言う。

 走るだけではない。意外な発見もあった。佐藤さんは「走りながら西東京〜東久留米の街の素晴らしさを再確認・再発見! わが街に愛着を感じる良い機会となりました。走り終えた後は、ラムネと駄菓子で乾杯! 疲れた身体を駄菓子に癒されて終わった製菓リレーでした」と話していた。

 「3月12日はだがしの日〜だがしと笑顔の交換日〜」という「DAGASHIで世界を笑顔にする会』のコンセプトをどう実現するか。ヤギサワベースの店主中村晋也さんと、だがしやかなんの店長山永和子さんが話し合っていた時、ふたつの店を結んで聖火リレーのように走る、というアイデアが浮かんだ。「聖火リレー」と「製菓リレー」。「走る」と「駄菓子」が繋がった。

 ランナーでもある中村さんは「3月12日が平日なので、大人が主体で楽しめることを考えた。仲間と一緒に走ることが心から楽しくて、笑顔を繋ぐことができた。大人達が本気で楽しめるイベントとなった」と話した。

 

ヤギサワベース店主 中村晋也さん

 

 「だがしやかなん」では夕方から中学生を含めた子供達7人が参加して、店の近所をハート型に走る製菓リレーパート2が行なわれた。子供達が「1.6キロ? 楽勝!」「今日は笑顔を届ける日だよ」とワクワクする気持ちを話してくれた。

 

 だがしの日の由来

 DAGASHIで世界を笑顔にする会によると、古事記などに出てくる田道間守公(たじまもりこう)は「お菓子の神さま」とも言われ、命日が3月12日だった。このため日本記念日協会の認定を受けて「だがしの日」を制定した。同会は2015年に製菓業者など有志企業18社が集まり、日本独自の駄菓子文化、共存共栄の精神を世界に発信して世界平和に繋げたいとの思いで設立したという。

 「製菓リレー」を主催した両店もこの会の会員。今年初めて「だがしの日」記念イベントを実施した。「だがしの日」は今年3回目を迎え、東京の両店のほか、岡山、大阪、石巻でスタンプラリーやリレーマラソンなどのイベントが行なわれた。

 

 プレイベント

 両店ではイベントに先立ち3月10日(土)にそれぞれの店でプレイベントを行なった。

 【駄菓子屋ヤギサワベース】
 土曜日の午後、常連の子供たちによるソフトグライダーで店内は熱くなっていた。100円で購入した紙製のグライダーを組み立て、室内の飛行場へ着陸させる。上手くいってもいかなくても、何度も興じるうちに熱くなる。男の子の世界だ。

 グライダーを購入した子には「駄菓子のつかみ取り」のサービス。この日のイベントのために「DAGASHIで世界を笑顔にする会」から大量の駄菓子が提供された。子供達はもちろん満面の笑み。

 

つかみ取りでこんなにお菓子を貰いました

 

 午後1時からは柳沢楽太郎一座によるライブ演奏と紙芝居。店内いっぱいの観客にむけて歌われたのは「駄菓子屋ブギウギ」と「梅の花ブルース」。2曲とも柳沢楽太郎一座によるオリジナル曲。ギターとボーカルがノリの良いジャズのサウンドを演奏すると本邦初演にもかかわらず、店内は手拍子と歌声。観客もまき込まれて思わず歌いだした。

 

柳沢楽太郎一座 ヴォーカルはヤギサワベースの女将mamiさん

 

 地元企業「エクラアニマル」から提供されたという紙芝居セットで紙芝居を上演。子供達はお菓子を食べるのも忘れて集中している。静かに紙芝居を見たご褒美に駄菓子を一つずつ。その後も「似顔絵書いちゃうぞ!」「こども寄席」があり、夜は大人向け「大人の駄菓子バル」とイベントが続いた。子供の社交場であり、同時に大人も楽しめる。ヤギサワベースらしいイベントとなった。

 【だがしやかなん】
 袋に入った駄菓子を魚に見立てて釣竿でつる「駄菓子つり」。威勢の良い呼び込みや子供をサポートするボランティアスタッフはみんな(男性も)リボンのカチューシャをしている。中学生はこの日、行事が多くて来られなかったが、高校生が5人、1日店長やスタッフとして活躍していた。店の前のスペースは「わが街の子はわが街で育てる」というかなんのコンセプトらしい風景が広がった。

 

ボランティアの高校生たち

 店内では柳沢楽太郎一座の「駄菓子屋ブギ」が流れている。親子で訪れた一家に話を聞くことができた。360円の「大人買い」をしていたお父さんは「昔と変わらないお菓子が懐かしく、ついつい沢山買ってしまった」と照れていた。「この店は以前から知っていたが、訪れるきっかけがなく気になっていた。今日はイベントで子供と一緒に来やすかった」と話した。小学生の息子は初めての駄菓子屋、ということでお母さんはお金の払い方などを教えていた。

 将来保育士を目指しているという高校生による紙芝居、時間になるまで待ちきれずフライングで始まったソフトグライダー選手権、小さな楽器を口を使って鳴らす「口琴」部隊の即興演奏があり、夜は打ち上げ、卒業祝いも兼ねた集まりが開かれた。

 店主の山永さんは「ヤギサワベースの中村さんと役割分担ができ、楽しみながら、それぞれの店の特徴を生かしたイベントができた。『DAGASHIで世界を笑顔にする会』の協力には感謝している。1回目を開き、将来への展望も開けてきた。来年は同じ会場で一緒にやる部分も考えたい。東京で一緒に参加してくれる店も探したい」と笑顔で語った。

 

だがしやかなん店長山永和子さん(左)とスタッフ

 

 「ヤギサワベース」と「だがしやかなん」の共通点は店内にテーブルがあること。そこで子供達はゲームに興じ、漫画を読み、宿題を済ませ、世間話をする。コンビニエンスストアや量販店でも駄菓子は買えるが、駄菓子屋にやってくるのはそこが心地よい居場所であるからだろう。子どもだけでなく、大人も笑顔にする駄菓子と駄菓子屋の文化。そこにスポットを当てたイベントだった。
(渡邉篤子)(写真と地図は筆者提供)

 

だがしの日のポスター

【関連リンク】
・駄菓子屋ヤギサワベース(HP
・だがしやかなん( 株式会社TO・BI・RA.
・DAGASHIで世界を笑顔にする会(twitter

 

【筆者略歴】
渡邉篤子(わたなべ・あつこ)
 ひばりが丘在住約30年。音楽教室講師の傍ら公民館などの音楽活動に関わる。ひばりが丘でエリアマネジメントをする民間団体「まちにわひばりが丘」のボランティアチーム「まちにわ師」2期生。コミュニティーメディア「AERU」担当。

 

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