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雑木林に浮かぶ宮沢賢治の童話世界 「どんぐりの会」10周年の幻燈会

By in 交流・共生, 楽しむ on 2018年10月22日

終演後、出演者が紹介された(写真:筆者提供)

 宮沢賢治の作品を屋外のスクリーンに映し出した絵と朗読、生演奏で味わう第19回「月夜の幻燈会」が10月21日夜、小平中央公園(小平市津田町一丁目)の雑木林で開かれた。20日の上演予定が急な雨のため1日延期しての開催となったが、立ち見が出るほどの人気。親子連れを中心とした観客は虫の音や草木の匂いに包まれて、薄闇の中に浮かぶ不思議な物語世界を楽しんだ。

 「月夜の幻燈会」は今年10周年を迎えた地元の市民グループ「どんぐりの会」が2009年秋から年2回、入場無料で開催してきた。これまで『注文の多い料理店』『セロ弾きのゴーシュ』などを取り上げ、毎回数百人が集まる催しとして親しまれてきた。

当初の開演予定日の下に、雨天順延の場合が小文字で書かれている(クリックで拡大)

 今回の演目は第1回で取り上げた短編童話『オッベルと象』。地主オッベルは森から迷い込んできた白象をだましてこき使う。日ごとに弱る象は月の助言で仲間に手紙を書き、仲間の象たちがオッベル邸に押し寄せる―。

 縦横数メートルの大スクリーンに映し出されたのは、宮沢作品の絵本化に取り組むイラストレーター小林敏也さんの絵。植松葉子さんの笛による前奏や間奏、入野智江さんのパーカッションによる効果音、そして女優鍵本景子さんの巧みな朗読に、スクリーン前のブルーシートに座った子どもたちもじっと聴き入った。

 プロジェクターやマイクに要する電気は当日、雑木林で自転車発電機をこいで賄った。
 誰でも自由に出入りできる雑木林は、住民の散策や休憩のほか、自然観察会や野外アート展、ライブ、パフォーマンスなど地域の人たちによってさまざまに利用されてきた。どんぐりの会は、雑木林や近くの玉川上水が地域住民たちの親しめる場となるよう、幻燈会や演奏会、鳥や植物、セミの抜け殻の調査、自然観察会などを重ねてきた。

 終演後、どんぐりの会代表の尾川直子さんは「雨で延期になるといったリスクがあっても、私たちは虫の音が聞こえるような自然の中で幻燈会を開くことをとても楽しんでやってきました。こんな小さな林でも身近にあるといろいろなことができます。これからも楽しんでやっていきたいと思います」と話した。
(片岡義博)

 

【関連リンク】
・どんぐりの会(HP

 

【筆者略歴】
 片岡義博(かたおか・よしひろ)
 1962年生まれ。共同通信社記者から2007年フリーに。小平市在住。嘉悦大学非常勤講師(現代社会とメディア)。

 

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