「つるしびな巡り」で商店街活性化 東久留米市商工会女性部が手作り

投稿者: カテゴリー: 暮らし オン 2019年3月17日

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 東久留米市商工会女性部が主催する「第11回つるしびな巡り」のスタンプラリー抽選会が3月2日と3日、東久留米市役所市民プラザ(東久留米市本町)で行われた。1月12日から2月末までの期間中、「つるしびな」が参加した約30店の店頭を飾り、参加店を巡ってスタンプを集めると、商品券や商品が当る仕組み。抽選会には2日間で約1000人が集まり、時折「当たり」を知らせる鐘の音と「おめでとでうごいます」の声が上がった。

 

手仕事のパワー

 

 3月2日、東久留米市役所市民プラザ屋内広場を訪れた。2月28日まで参加店で飾られていたつるしびなが集められ、展示されていた。160点を超えるつるしびなが、屋内広場いっぱいに飾られている様は壮観であった。入ってきた来場者の「すごいねぇ〜」の声が何度も聞こえる。

 屋内広場はアトリウムになっている。ふんだんに外光が入り、樹木も配され、ずらっと並ぶつるしびなを、公園を散策するような気分で眺めた。

 

色とりどりのつるしびなの饗宴(東久留米市役所市民プラザ)

 

 一つの飾りに紐が7本。それぞれの紐に7つのぬいぐるみが吊るされている。花、鳥、魚、蝶、動物、子ども、草履、など様々だ。「草履は足が強くなりますように」「蓮根は将来の見通しが良くなりますように」というように、一つ一つの飾りには子どもの成長と幸せを祈る意味が込められている。使われている布の柄を見ると、古風な柄や色使いが多数見受けられる。かつて女性たちが喜んで纏った「布のアンティーク」が、新たな使命を果たしている。

 受付をしていた商工会役員によると、商工会女性部の会員と、月1回行われる講習会に集まる女性たちが作成を担っているという。

 

手の込んだ花(東久留米市役所市民プラザ)

 

 古い着物をほどいて再生した「古布」を用い、ひと針ひと針手縫いされた飾りには、今も昔も変わらない、女性たちの願いが込められている。これだけの量を目の当たりにすると、一人一人の手仕事という小さな行為が、女性たちの「健やかで、平和な日々を願う」大きなパワーに昇華しているように感じた。

 スタンプを沢山集めて、何回も抽選に挑戦する来場者が多かった。当選の確率も高いのでは? 筆者は見事「商店賞」に当選。クリスマスローズの鉢植えを抱えて笑顔で会場を後にした。

 

スタンプを集めるために

 

 期間中、ポイントとなった店舗や事業所にはスタンプを求めての来場があった。
 今回初参加となった「ひばりテラス118(一般社団法人まちにわひばりが丘が運営するコミュニティスペース)」には「初めてだから道に迷いました」と話す来場者が何人かいた。私はそこの運営スタッフでもある。窓口で受付担当のときは「ひばりが丘団地も変わったわね」「ここはどんな場所ですか?」など嬉しい会話ができた。

 「これは去年の」「これは一昨年の」と全てスタンプが埋まったシートを見せてくれた人もいて、年中行事として楽しみにされている様子が伺えた。

 

スタンプがビッシリ!

 

 地図にある店に行きたくて市内を歩くと、新しいお菓子屋さんを見つけた。美味しいラーメン屋さんが閉店していた。更地になっている四つ角、ここには何があったかな?
 馴染みの店もあったが、初めての店で買い物もした。
 珍しくなりつつある文房具店、米店、酒店、ふとん店などの個人商店。大型のショッピングセンターにない品揃えやサービスが感じられた。「つるしびな」の話を取っかかりに、商店街のイベントを紹介されたり、お勧めの店を教えて貰ったり。意外な情報収集となった。

 

「つるしびな巡り」の地図(クリックで拡大)(クリックで拡大)

 

 少し小寒い時期ではあるが、街歩きを楽しむことができ、抽選で商品が当たる事以上の喜びを感じた。

 

講習会に出掛けて

 

 2月15日「つるしびなの講習会」が商工会館で行われた。毎月第3金曜日、午後1時30分から開かれている。

 誰でも参加できる講習会、ということで近隣の市民も参加しているという。
 広い講習室に60人〜70人の女性が集まり、その日の作品を作成している。テーブルの上には役員が準備した「材料キット」と針箱。隣の人とお喋りしながら、縫い方の難しいところは先生に尋ねて作品を仕上げていく。途中で、お茶の時間。飲み物や飴が配られるとさらに和やかな雰囲気になる。

 部屋の一角には商工会女性部役員のコーナーがあった。
 着物をほどく作業。丁寧に糸を抜くと次第に着物から四角い布へと戻っていく。洗って、接着芯を貼る。型紙をおこし、切り抜く。来月作る予定の作品の「材料キット」が作られていた。役員に聞くと、きめ細かな、大変な準備にもかかわらず、「楽しくやっています」と話した。

 

今日のお手本

 

 自らも作業に当たっていた女性部(会員数100名)部長の岩崎友子さんに話を聞いた。
 「平成12年(2000年)、商工会女性部の視察旅行で稲取温泉(静岡県東伊豆町)に行き『つるしびな』に出会った。初めは20人くらいでスタートしたが次第に定着し、現在の規模となった。『つるしびな巡り』は今年で11回目となる。(つるしびなを見に)行ったことが形に残る方法を考えて、スタンプを集めるという形を考えた」

 

子どもたちの作品

 

 「つるしびな巡り」から派生して、市内の小学校2校で「つるしびな製作の公開授業」を実施した。昔は着物中心の生活で、リサイクルは当たり前のように行われていた。そこから講習会がスタートすると、子どもたちばかりか、親からも驚きの声が上がると言う。「お父さんも熱心に縫っていますよ」と意外な事実を話した。

 

岩崎友子さん

 

 岩崎さんは「東久留米を活性化させようという思いで、30を超えるお店が参加した。今年は金融機関の参加があった。さらに参加するお店を増やしていきたい。スタンプを集めて街を歩き、お店に寄って、街を知っていただきたい。買い物してくださるともっと嬉しいのですが」と笑った。
(渡邊篤子)(写真は筆者提供)

 

【関連リンク】
・第11回 つるしびな巡り(東久留米市
・第11回「つるしびな巡り」のご案内(東久留米市商工会

 

渡邉篤子
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