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江戸情緒漂う夏祭りの夕べ 江戸東京たてもの園で「下町夕涼み」

By in 歴史・伝統, 楽しむ on 2019年8月18日

夕闇に染まる家並み。見上げると三日月が…(山の手通り)

 都立小金井公園内の江戸東京たてもの園(小金井市)で8月3日と4日、恒例の「夜間特別開園 下町夕涼み」が開催された。入園前から祭り太鼓の響きや人びとの賑わい、浮き浮きした雰囲気が伝わってくる。日没後「山の手通り」には切り絵のランタンが提灯と共に灯され、ぽかりと浮かび上がった三日月の光もやわらかだった。

 昔懐かしい夏祭りが楽しめるこの催しは今年で17回目を数える。夏季は午後5時30分の閉園時刻を午後8時30分まで延長。例年2日間で1万人を超える人々が来園するが、今年は約1万2000人が訪れる賑わいとなった。歴史的建造物に囲まれたレトロな雰囲気の園内には、おとなも子どもも楽しめるイベントや企画が用意されていた。

 

ランタンに照らされた「山の手通り」

 

 商家や老舗店舗などが軒を連ねる「下町中通り」は、醤油店や乾物屋、荒物屋などの店内に立ち寄る人びとも多い。「花市生花店」は美しい切り花を取り揃え、隣家の「武居三省堂」では文房具が販売され、昔懐かしい鉛筆やノートをのぞきこむ親子の姿も見られた。

 「下町中通り」突き当りの「子宝湯」は、ちびっこ縁日で大賑わい。射的や輪投げ、ヨーヨー釣りなど懐かしい遊びを目当てに、入場待ちの行列ができるほどの人気だった。江戸時代の茅葺き民家では昔話が披露され、座敷ではわらべ歌に合わせて踊る子らを大人も笑顔で見守っていた。

 

堂々たる店構えの乾物屋「大和屋本店」

「武居三省堂」の文具販売

 

 「東の広場」には櫓が組まれ、その周りを東京音頭や炭坑節に合わせて盆踊り。浴衣を着た女性や、子どもたちが幾重にも輪になって踊っていた。「万徳旅館」では三遊亭金時と三遊亭萬窓による寄席も行われ、落語で大笑い。

 昭和初期の写真館「常盤台写真場」は、持参のスマホやカメラで記念撮影ができるとあって、こちらも長い列ができていた。伝統工芸の実演と販売もあり、江戸硝子が美しく切り込まれていく様子を熱心に見つめる子どもの姿も見られた。

 

艶やかな浴衣で盆踊りに参加

瀟洒な洋館「デ・ラランデ邸」でお茶のひと時

 

 浴衣姿で園内を散策するカップル、手を繫ぐ親子、友人らと連れ立ってそぞろ歩きする姿も目に付いた。ビアガーデンでくつろぎ、明治時代の瀟洒な洋館「デ・ラランデ邸」で食事やお茶に集う人びとも、真夏の夕べを思い思いに楽しんでいた。

 帰り際にビジターセンターの展示室に立ち寄ると、風呂敷ワークショップが開催されていた。一枚の布で包む工夫。粋なデザインが、暮らしのなかで輝きを増してくる。

 

風呂敷もさまざまな表情を見せる

 

 江戸情緒が随所に感じられた夕涼みのひと時。提灯やあかりに照らされた笑顔が印象的だった。
(卯野右子)(写真:筆者撮影)

 

【関連リンク】
・夜間特別開園 たてもの園 下町夕涼み(江戸東京たてもの園)お知らせ版 レポート版
・配置図(江戸東京たてもの園

 

【筆者略歴】
 卯野右子(うの・ゆうこ)
 西東京市新町在住。金融会社勤務。仕事の傍ら「アートみーる」(対話型美術鑑賞ファシリテーター)「みんなの西東京」「放課後カフェ」の活動に参加。東京藝術大学で「アートX福祉」を履修し、2019年4月より東京都美術館のアート・コミュニケータとして人と美術館を繋ぐ活動を開始する。

 

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