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子どもたちの試行錯誤を応援する 緑の中のアフタースクールcommon

By in 子育て・教育 on 2020年7月28日

バッタがいっぱいいるよ

 ひばりが丘団地エリアの南西角に建つマンションの隣、歩道から芝生の広場越しにガラスばりの部屋が見える。いつもなら小学校が夏休みに入る7月21日、ひばりが丘のアフタースクール「common(コモン)」を訪ねた。地域のお祭りさえ中止となるこの夏、子どもたちの参加できる夏のイベントを企画した施設長の山下純平さんに話を聞いた。

 

 地元で遊ぼう!

 

 「地域の子どもたちへ向けたイベントです」。開口一番、山下さんはこう言った。「もちろん地域外の友だちと一緒に参加、など歓迎ですが」と続け、「commonの使命は地域の子どもの安心できる居場所となること」と話した。

 夏休みは、日頃行けないところへ出かけたり、珍しいことを体験したりするチャンスでもあるが、今年は制限が多く、計画も立てづらい。そんな時期だからこそ、地元の子どもたちに、身近な環境の中で「ワクワクすること」や「なぜ? どうして?」の種を提供するのが今回のイベントの目的だという。

 それぞれのイベントにもcommonのどんな考えが込められているか、詳しく聞いてみた。

 

 ◇すごい自由研究のひみつ大公開!(8月8日)

 「自由研究」と聞いただけで大きなプレッシャーを感じる人もいることだろう。まず、何をテーマとするかが考え付かない、決まらない。これでは簡単すぎないか、長大すぎないか、迷っているうちに時間が経っていく。筆者にも経験がある。

 山下さんによると、自由研究は「仮説」を立て、「実験」し「結果」を「考察」することを学ぶ絶好の機会、という。学びのプロセスの中で子どもたちが課題に対して試行錯誤をすることが大切、と力説した。理科的なテーマばかりではなく、工作でも考え方は同じ。身近な課題に対し「なぜ?」「どうして?」と問いかけて、試行錯誤する方法を学ぶイベントだ。

 

 ◇デジタルアートで遊びつくそう!(8月9日)

 MIT(マサチューセッツ工科大学)が開発した「Makey Makey(メイキー メイキー)」という機器を使ってのイベント。この機器は「電気の通るものなら何でもパソコンのキーボードの代わりになる」という物で、パソコンに繋いで「バナナを叩くと猫の鳴き声がする」などプログラミングの基本が体験できるという。「自分でルールを作るということが醍醐味です」と話す山下さんには、歓声をあげて実験に興じる子どもの姿が見えているようだった。

 

 ◇純さんと行くいつもと違う六都科学館(8月22日)

 山下さんはサイエンスコミュニケーターでもある。科学の専門的な事柄を、聞きたい人のレベルに応じて噛み砕いて説明する、いわば「専門家と一般の方を繋ぐ」専門職だ。

 地域の子どもたちにとってはおなじみの「多摩六都科学館」を、山下さんの解説付きで訪れることで、普段は通り過ぎてしまうところまで見てみよう、という企画だ。

 多摩六都科学館と言えばプラネタリウムが有名だが、他にも色々な展示がある。地元の情報に触れ新たな興味の対象が見つかるかもしれない。

 

 ◇HIBARI shape hunter〜街に隠れるフシギなカタチ〜(8月23日)

 「地元を知って、好きになって貰いたい」。そんな思いから考えられたフィールドワーク。
 ひばりが丘団地エリアを子どもたちが探索する。あれ? と思うフシギなカタチ、変わった遊具、団地の名残り、マンホールの柄、そんなものを見つける、オリエンテーリングのような、宝さがしのような企画だ。現在、「おすすめスポット」の募集中。

 夕方、暗くなってからの「ひみつのイベント」も企画中、という。
 緑濃い夏の景色の中、黄色のビブスを着た子どもたちが動き回る風景が楽しみだ、と楽しそうに目を細めた。

 

 commonの日常

 

この棚には遊びのタネがいっぱい

 

 学校がひけた子どもたちが三三五五やってくる。手洗い、消毒を済ませ、出席の確認、ランドセルの片付けが済むと、タイムスケジュールのボードに向かう。

 「学校の宿題をいつやるか?」。自分で決めてボードに記す。1日の終わりに切羽詰まって宿題に追われたことがある子は、失敗を生かしていると言う。宿題が2つある子は悩んだ末、2回に分けることにした。小さなことでも「自分で決める」ことが何よりのモチベーションになるだろう。

 広い部屋には座卓が置かれているだけ。
 本棚に収められた図鑑の数々。「じっけんどうぐ」と書かれた棚もある。工作の素材。豊富な文房具。子どもたちの試行錯誤ををサポートするものが詰まっている。

 何日か振りの再開を喜び、じゃれあう男の子たち。コミュニケーターと呼ばれる職員と相撲を取る子。今日の学校での出来事を話す女の子。芝生の庭でバッタを捕まえる。紙で魚を作る。学校で疲れたのかな、座卓に頬づえをついてぼんやりする子もいる。

 今日は1年生が7人、5年生が1人。
 ゲームもテレビもない部屋で、思いついた楽しそうなことをやっている。コミュニケーターは山下さんを含めて4人。子どもたちを見守り、話を聞き、穏やかに話す。
 静かな時が流れていく。

 

自分で決める、失敗したら考える、言葉にする…

 

 揃っておやつを食べた後の「ミーティング」の時間。子どもたちは2つのグループに分かれて、コミュニケーターの周りに集まる。

 「お話したいことがあるひと!」と問うと手が挙がった。
 「今日はニジマスを作った」
 「ニジマス好きなの? なんで好きなの?」
 「ニジマスは川にいるんだよ」

 人の話を聞いて、感想を言う、疑問に思うことを尋ねる、という真剣な会話が続く。
 「カブト虫の死骸を見た」
 「しがいってなあに?」
 子どもが一生懸命に話す。こととん聞く。
 「それでどう思った?」
 「カブト虫を飼いたいと思った」
 気持ちを聞く、興味を引き出す。
 「今日これから何をしますか?」
 「僕はカニを作る」
 「じゃあ、完成目指して頑張ってください!」

「ミーティング」は濃厚な時間だった。
 保護者からも「思ったことを言えるようになった。子どもの成長を感じる」という声が届く、と山下さんは話した。

 決まったことをすることのない時間と、しっかりと他の人と関わる時間のメリハリが効いていた。

 自分で決める、失敗してもそこで考える、考えたことを言葉にする、その繰り返しが、小学生だからこそ大切だと感じられた。

 

真剣にカニを製作中

 

 「今日はカニを作る」ことにした男の子。足で厚紙を抑え、テープで止めて、格闘するように挑んでいる。本当に楽しそうだ。
(渡邉篤子)(写真はすべて筆者撮影)

 

【関連情報】
・夏の特別イベント【common’s special days】のご案内(common

 

【筆者略歴】
 渡邉篤子(わたなべ・あつこ)
 ひばりが丘在住約30年。音楽教室講師の傍ら公民館などで音楽講座の講師を務める。ひばりが丘でエリアマネジメントをする民間団体「まちにわひばりが丘」のボランティアチーム「まちにわ師」2期生。コミュニティーメディア「AERU」担当。

 

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