アイヌ民族文化のミニ展示会 多摩六都科学館で8月31日まで

投稿者: カテゴリー: 暮らし文化 オン 2020年8月17日

 多摩六都科学館(西東京市芝久保町5丁目)2階ホワイエ(プラネタリウム前)で、アイヌ民族文化のミニ展示会が8月31日まで開かれている。多摩六都科学館スタッフの成瀬裕子さんが企画した。アイヌ独自の星座や星をプラネタリウムで投影し、併設したミニ展示会も楽しんでもらおうと準備してきた。しかし、コロナ感染の影響で全編生解説プラネタリウム「ノチウ-アイヌ民族の星座をたずねて-」は中止になったが、ミニ展示会は現在公開中だ。(写真は、2階ホワイエのミニ展示会)

 

アイヌ民族文化への関心高まる

 

 アイヌ施策推進法が2019年に制定され、アイヌの人たちが先住民族として正式に認められた。今年2020年7月12日には北海道白老町ポロト湖畔で「ウポポイ」(民族共生象徴空間)が開館。コロナ禍で事前予約が必要になったが、多くの人が入場した。

 漫画連載とアニメ放映された「ゴールデンカムイ」や作家川越宗一氏の「熱源」などの評判が、アイヌ民族や伝承文化への関心を高めた。しかし、関東地方におよそ5000人程度のアイヌの人たちが暮らしていることは知られていない。北海道の知床周辺には樺太から渡ってきたウイルタ(作家・津島裕子氏の「ジャッカ・ドフニ」に詳しい)の少数民族も住んでいて、日本に住んでいるのは単一民族だけではない。

 

アイヌの星座投影を企画

 

 企画した天文グループの成瀬さんは北海道旭川市に住んでいたことがあった。アイヌの人たちは、北海道にも多く住んでいるが、その北海道でもアイヌ民族が独自の星座をもっていることを知らない人が多いのが気になっていた。2年前に多摩六都科学館に入職。プラネタリウム投影の企画や生解説を担当している。プラネタリウムではギリシア神話に基づく星座を紹介することも多いが、アイヌのことを学ぶ中で、アイヌ民族独自の星座にまつわる豊かな物語とアイヌ民族の伝承文化に心を惹かれ、ここでもそれを投影したいと思っていた。

 

多摩六都科学館はユニークな建物

 

 ミニ展示会では、アイヌ文化独特の刺繍で飾られたアイヌの衣服や、ピン、ピーン、ピンと空に響くムックリなども置かれている。公益財団法人アイヌ民族文化財団の協力で実現したものだ。

 

ブログで内容を紹介

 

 プラネタリウムで、アイヌ民族独自の星座を紹介する機会でもあった「ノチウ-アイヌ民族の星座をたずねて-」だったが、臨時休館のため中止になった。

 成瀬さんは、紹介予定だった内容を六都科学館のホームページ「ロクトレポート」で連載した。イランカラプテ(アイヌのあいさつの言葉)から始まるブログで星たちを丁寧に紹介している。「たっぷり書いたので、長くなりましたが」と頬をゆるめた。

 

展示会前で。成瀬さん(左側)と廣澤さん(右側)

 アイヌ語で星のことは「ノチウ」という。北斗七星は、ウプシノカ・ノチウ(下向きに寝たカムイの姿)とクットコノカ・ノチウ(上向きに寝たカムイの姿)とも呼ばれ、高さや向きによって使い分けている。また、アイヌの人たちは春夏秋冬で星の呼び名を変えるなど、自然を丁寧に見つめている。

 4月に予定されていた投影は中止になったが「星座はいつでも見られますので、またチャンスがあると思います」と成瀬さんはいう。
 統括マネージャーの廣澤公太郎さんは「また、機会もある。コロナ感染と熱中症に十分注意して、ぜひ足を運び、いろんな企画を楽しんでほしい」と話している。

 

 六都科学館では、科学や天文、子どもたちのための催しなど多彩な企画を用意している。コロナ感染のためもあって人数制限もあるが、子どもたちの夏休みの楽しみが待っている。
(川地素睿)

 

【関連情報】
・アイヌ ミニ展示(多摩六都科学館
・「アイヌ民族の星座」一覧(多摩六都科学館 ロクトリポート
・公益財団法人アイヌ民族文化財団(HP

 

川地素睿
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