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「廣田さんちの金曜パン」

「開店1周年パンまつり」に高校生も参加 広がる「リアル井戸端会議」

投稿者: カテゴリー: みどり-環境交流・共生 オン 2021年4月6日

 西東京市東町に住む菊池ゆかりさん宅の庭で3月26日、手作りパンの出張販売を記念する「開店1周年パンまつり」が開かれた。菊池さんの友人、坂口善恵さんが手作りするのは、龍神の塩パンやカンパ―ニュなどこだわりの8種類。予約も含めて早々に売り切れた。おいしいコーヒーもふるまわれた。ボランティアの高校生たちが保育園や施設などに自転車でパンをデリバリー(配達)するなど新しい試みも。ご近所が集い、つながりが広がる「リアル井戸端会議」は午後2時前、にぎやかに終了した。当日の記録係に任命され、カメラをもって参加した筆者、川地素睿の報告です。(写真は、パンまつりでぎわう会場)

 

手作りパン完売 新しいつながりの場にも

 

 「こんにちわ。いいお天気ですね」「これとこれ2つずつ」「通りがかりだけどいいですか」「どうぞどうぞ」…。午前10時の開店早々、パンを選ぶ人でさっそくにぎわい始めた。

 

 会計係は、菊池さんのお母さんの廣田さんが担当。お店の名前はだから「廣田さんちの金曜パン」だが、お母さんが作った陶器の器やお皿も一緒に販売する。菊池さんの娘さんは「いろどり文庫」を出店。絵本などの貸し出しを担当する。保谷高校の生徒が発案した「子どもコーナー」もある。学校で集めた洋服やおもちゃ、絵本なども並ぶ。園児がちょこんと座って熱心に見ていた。のらぼう菜の販売もある。出店した照沼さんは「父がやっていた畑を受け継いだ。地元野菜を食べてほしい」と販売の合間に話してくれた。

 

 新しいつながりがどんどんひろがっているようだ。
 「高校時代の知り合いなのよ」と知人に紹介する人。「久しぶり、しばらくだねえ。元気でしたか」と声をかける人。「あの人はどういう方なんですか」と新しくつながる人。地元でこういう場があると、新しい人もどんどん参加し、いろんな交流が生まれる。地域の貴重な場所になっている。

 

リアルな井戸端会議をしたい

 

 菊池さんがこういう場をつくったのは、社会福祉士の活動の中で高齢者の方に「ご近所とのつながりが大切ですよ」と話しかけていたが、いざ自分が実家に帰ってみると近所が様変わりし、人のつながりが稀薄になっていると感じたからだ。1年ぐらいすると、なんか物足りない。

 

 「わたしがやりたいのは、リアルな井戸端会議だ」と気がついた。「そういえば、むかしは自宅の井戸水でお風呂に入っていた」。探してみたら裏庭に井戸があった。井戸を再生して、その水でコーヒーを飲んだり、食に活用する、地域で楽しいことができるかもしれない、助け合いの拠点にならないかと考えたのがはじまりだった。

 

 最初は掲示板をつくり、「0円均一」で、使えるけれど、不用な品を「どうぞ、お持ち帰り下さい」と庭先に置いた。庭にある木から収穫するゆずのはちみつ漬けも販売してみた。人の輪がひろがり、友人の坂口さんが手作りする「金曜パン」も開店した。それから1年、多くの人が力を寄せ合い、「開店1周年 パンまつり」を開くことができた。

 

 菊池さんが当日の感想をよせてくれた。

 「お帰り!」と自転車でパンを届けた保谷高校生を迎えてほっと一息。昨年にはこんな展開は想像もつかなかった。
 3年前に夫が亡くなって出戻った実家の周りには、私が安心できるつながりがなかった。仲間と相談するうち、パン屋の親友が焼いたパンをウチのガレージで売る事を思い立った。昨年始めたら、毎回売り切れるほど好評! さらに使えなくなっていた井戸の工事費用をクラウドファンディングで集めて再生した。手押しポンプなら電気が止まっても大丈夫だ。
 今年3月の「廣田さんちの金曜パン 開店1周年パンまつり」では、SDGs(持続可能な開発目標)の授業がご縁でつながった保谷高校生にお手伝いをお願いした。

 

 

保谷高校生

高校生パンデリバリー部隊

 

高校生がパンのデリバリ―も

 

 自宅近くの都立保谷高校は菊池さんの出身高校だ。高校生たちは学校でSDGsの授業で菊池さんの活動を紹介された。今年1月に菊池さん宅を訪問。庭のゆずの実をもいだり、再生した井戸を見て話を聞いたりするなど交流が深まり、自分たちから「子どもコーナー」を提案した。菊池さんは高校生が参加できるように春休み中に「パンまつり」開催を設定し、パンのデリバリーも企画した。

 

 パンのデリバリーで保育園や高齢者施設、地域包括支援センターなどをまわった高校生は「配達先で話を聞いて、それぞれのまちでの役目を知った。つながり、まちを運営し、向上させていくのに欠かせない大切なギアであると感じた。このデリバリーで人と関わることの魅力を強く感じさせられた」と話している。

 

「SDGsの授業がここまで広がるは」

 

 参加した高校生(1年生)2人が感想を送ってくれた。

 「高校の授業でSDGsのことを学んだ。それぞれが問題だと思うことを挙げ、その解決の糸口を見つけ出すという授業です。昼休みに外出許可を得て、菊池さんのお宅を訪問。たった30分でしたが、濃密な時間をすごしました。取材だけで終わるのかなと思っていたら、菊池さんから「春休みに手伝ってくれない?」とお誘いが。心の準備ができていなかったので驚きましたが、「学びを行動に移すチャンス」と参加しました。やることも初めての経験で不安でしたが、お客さんの笑顔で怖くなくなりました。授業からここまで広がると思っていませんでしたが。(髙木咲也子さん)

 

集めた服やおもちゃ

学校で集めた服やおもちゃ

 

 「同級生たちから、今日のために集めたたくさんの服や使わなくなったおもちゃを子どもたちに譲ることができて嬉しかった。社会のためにできることは何かと考えても、いい案が思い浮かびません。そんな時の参加で、一気に輪が広がりました。コロナや最近の地震などで繋がりの大切さを感じています。みんなが過ごせる空間づくりは簡単ではないと思いますが、菊池さんや廣田さんの活動が私たちとを繋げてくれ、行動することの大切さを学びました。これからも機会があれば、積極的に取り組んでいきたいと思います。( 田之上萠子さん)

 

保谷高校生

高校生と菊池さん

 

参加100人、次々に輪が広がる

 

 終了後、菊池さんからメールが届いた。
 「 主催者発表は、ご来店69人、デリバリー先31人、計100名。我ながらすごい。さらにこの日、アースデイネットで活動しているハハマナブのみなさんと子供服の活用について話がはずみ、それをアースデイネットのイベントで活かそうとしていると聞いた。自分がやっていることが、地域で活動しているほかの人ともつながっていく、そうした面白さを実感じています」

 

 次回のパン販売は4月23日、金曜日。この日は菊池さんたちも参加している「アースデイネットの春のミニフェス」と連携しての企画。コロナで大変な状況だが、まちのあちらこちらで新しい楽しいことが、少しずつ始まりそうな気配がする。

(注)SDGs(「エス・ディー・ジーズ」)は国連が提唱。「持続可能な世界」を目指し、2030年までに貧困・格差・環境破壊などの課題解決のために17項目の目標が掲げられた。
(川地素睿)

 

【関連情報】
・SHARE WELL Hironta(facebook
・持続可能な開発目標(SDGS)とは (国連開発計画(UNDP)駐日代表事務所
・地域の ”リアル井戸端会議”をめざして 古井戸再生プロジェクトのクラウドファンディング始まる(ひばりタイムス

 

【筆者略歴】
 川地素睿(かわじ・もとえ)
 高知県出身。東久留米市在住20年。法律事務所、旅行業を経てNPO法人に参加する。もうすぐ地域に帰ってくる団塊世代。高齢者も含めた多世代が関わるまちづくりに関心がある。

 

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