市内のパブリックアートを楽しむ「街角アートみーる」 西武柳沢駅前の野外7作品
芸術作品は美術館やギャラリーにあるだけでなく、実は野外にもたくさんあります。そんな作品をみんなで見て歩きながら対話し、多角的な見方を共有するイベント「街角アートみーる」が3月下旬、西東京市の西武新宿線西武柳沢駅周辺で開かれました。西東京市と共催した市民ボランティア集団「アートみーる」のメンバー丸山千香子さんの報告です。(編集部)(写真は、柳沢駅前付近に置かれた彫刻作品『旅』[峯田義郎作])
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2021年3月27日、西東京市内の柳沢駅周辺でパブリックアートをみるイベント「街角アートみーる」を開きました。たくさんの人とおしゃべりしながらアートを鑑賞する活動を行う市民ボランティア「アートみーる」が案内役を務めました。
西東京市に美術館はありませんが、実は市内の各所にパブリックアート(注)があります。今回は西武柳沢駅南口周辺に点在している作品を鑑賞しました。
(注)パブリックアートとは、ウィキペディアによると、美術館やギャラリー以外の広場や道路や公園など公共的な空間に設置される芸術作品を指します。
参加者は、小学1年生から70代と幅広い世代の13人が集まりました。集合場所は、柳沢駅南口ロータリー隣の柳沢公民館でした。ロータリーにも作品があるので、そこを通って来る人は作品を目にしているはずです。パブリックアートは道路など日常の風景に溶け込み存在しているので、気付いている人もいれば存在自体に気付いてない人もいるようでした。
まず公民館の部屋で大人と子どもに分かれ、パブリックアートについて説明しました。『考える人』(オーギュスト・ロダン作)・『忠犬ハチ公』(安藤士作)・『若い時計台』(岡本太郎作)など一度はみたことのある作品と、清瀬市にある彫刻作品も入れたアートカードをみてもらいます。その中の好きな作品や気になる作品を選び、それについて話してもらうことで、こらから行う活動の準備を整えました。
桜が咲き野外の鑑賞にピッタリのお天気、進行役のアートみーると一緒に参加者は少人数のグループに分かれ歩いて作品のもとへ。作品をみて思ったこと感じたことを自由におしゃべりしました。
「これなんだろえね、なんだと思う?」と進行役のアートみーるが小学生に声を掛けると、「川の流れに見える」「雲に見える」と声が上がり、それを聞いて「水の流れ」と話が続きました。お互いの話を聞いて納得したり驚いたり、一緒にみる楽しさを小学生グループは味わっていました。
2人の人物の表情ついて「違う天気の日にみたら、また違ってみえるかも」と大人グループから意見が出ました。
ぐるっとみて回れる作品。「カクカクしている」「滑り台みたい」「手前が低く奥が高い、成長している途中の心」…。みる場所によって作品から受ける感想がガラリと変わり、おしゃべりが盛り上がりました。
風が吹いてわずかに動いた時は、みんなから歓声が上がり、全員で楽しめた瞬間でした。
鑑賞後は公民館に戻り、「街角アートみーる vol.1 柳沢編」と題したしおりに、参加者はみて心に響いたことや今感じていることを各自書き残しました。その後、アートみーるメンバーと各グループの様子を共有しました。参加者から出た意見は、素通りしていたアートをじっくりみれて良かった。その人その人の良いところをみつけることにもつながると感じました。どんな意見も正解という考えが素敵だと感じました。これでイベントは終了となります。
充実した2時間でした。このイベントを通し参加者はアートを介してのコミニュケーションを楽しんだと思います。そして、街がいつもと違ってみえていると思います。不思議な物を発見した時はアートなのかと自問自答をしたり、身近な人とあれは何かとおしゃべりをしていると思います。
アートみーるメンバーは、参加者が地元にあるパブリックアートに興味を持ってくれたことを嬉しく思いました。同じグループになった小学6年生と70代の方が年齢層を超えて会話し交流していた様子にも手ごたえを感じました。他の人の言葉から発想が広がりそれを共有していく面白みを参加者が感じていると実感できたことも心に残りました。
今回作成した「しおり」は作品ごとのイラストと展示場所の地図、作品をみて思ったことや感じたことが書けるメモ欄があります。また、裏表紙には西東京市の白地図を載せています。パブリックアートを発見したらこの白地図に書き込んでオリジナルマップを作って欲しい、アートみーるはそんな思いでしおりを作りました。市内にはパブリックアートがまだまだあります。市民のみなさんが発見したアートを巡る「街角アートみーるvol.2」を開催出来たら嬉しいです。
「アートみーる」は、市内小学校を訪問し、図工授業で対話型鑑賞を行なっています。また地域イベントにも参加しています。「みーる」という言葉には「見る」と「meal」(食事)の二つの意味があり、アートをよくみて、味わうことを大切にしています。
(写真はすべて「アートみーる」提供)
【筆者略歴】
丸山千香子(まるやま・ちかこ)
東京都出身。西東京市在住14年。ディスプレイデコレーター。アートみーる3期。店舗など場を作り出すことが生業だったが、アートみーるの仲間になったことで「対話型鑑賞」を知り、アートを通してのコミニュケーションの場を楽しむ。東京都美術館×東京藝術大学「とびらプロジェクト」参加6期。アートを通しての対話の場を地元西東京にも広めたく、その魅力に惹かれて学びを深める日々を過ごしている。
とても素敵な催しですね!元気が出ますし、気持ちもいい!こんな活動がどんどん広がると良いですね!こういう地道な活動にこそ、税金を使って欲しいなぁ。
石川さん、コメントありがとうございます。
仲間と企画を考え、パブリックアートの下見を数度行いました。冬の寒い時でも春の様な暖かな日でもパブリックアートをみて対話するのは楽しい場でした。外の気持ちよさとアートの懐の深さが良いのでしょうね。
また活動の場を作ります。その時は是非体験してください。
良い企画ですね。
事前に知っていたら参加したでしょう。
お褒めの言葉ありがとうございます。
アートみーるのメンバーのモチベーションの維持になります。
次回企画の予定はまだはっきり決まっていません。ですが、市報掲載と公民館など公共施設にチラシを置かせて頂くと思います。
開催時にお会い出来たら嬉しいです。
よろしくお願いいたします。