国立精神・神経医療研究センターにイルミネーション 夕闇に輝く「元気」の光
小平市の国立精神・神経医療研究センター(NCNP)で12月初めから、ロータリー付近のツバキの古木数本にイルミネーションが輝いている。取り付けた電飾は約1万4000個。陽が落ちて辺りが闇に包まれ始めると、シャンパンゴールドの光が一帯を優しく照らし出す。(写真は、ツバキに灯るイルミネーション)
ここは繁華街ではない。精神・神経の治療・研究を専門とするわが国の先進拠点。その閑静なエリアに、どうしてイルミネーションが出現したのだろうか。
NCNPは国立研究開発法人。敷地は19万8,000平方メートル、東京ドーム4個分もあるほど広い。ここに病院のほか、神経研究所、精神保健研究所など多くの関連機関が集まり、職員は1400人を超える。新型コロナウイルス感染の拡大に対応して、病院を中心にいち早く「発熱外来」を始め、専用病棟を設けて近隣病院の患者を受け入れた。さらに「コロナ後遺症外来」 を開設し、後遺症に悩む患者を診たりした。その中で、病院職員らも今年初めに相次いで新型コロナウイルスに感染した…。
和田昌弘総務部長はこう話す。「当病院でコロナに感染する職員も出ましたし、患者さんたちもコロナ禍で受診を控えたりして、大変な時期を過ごしました。その後ワクチン接種も進み、患者さんもまた通院するようになってきました。そんな経験をした患者さんにも職員・スタッフにも元気になってもらいたい、元気になるようなことをしたいと考えました」。和田部長の言葉から、この間の事情と多くの人の思いが浮かんでくる。
それだけではない。和田部長は「このイルミネーションを地域の方々にも見ていただきたい、楽しんでいただきたいと思っています」と言う。「年明けの1月に、タクシー乗り場付近にキッチンカーが来ることになっています。患者さんや職員だけでなく、地域の住民の方々も利用できますよ」とも付け加えた。
コロナ禍で病院などは面会を規制し、院内のホールで開いていたピアノ演奏会などのイベントも中止した。やっと元に戻りつつあるいま、内外との新しい交流と関係づくりが再び始まる。闇夜の光は、その切っ掛けとなる灯火なのかもしれない。イルミネーションは来年2月末まで続く。
(北嶋孝)(最初の2枚は筆者撮影)
【関連情報】
・国立精神・神経医療研究センター(NCNP)のイルミネーションについて(NCNP)
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