「作左衛門の森」の歴史的文化的価値を学ぶ 西東京市・下保谷地区の屋敷林ツアーが3月26日に
西東京市下保谷地区にある屋敷林と緑地を後世に残そうと活動している「作左衛門の森を愛する会」(伴武彦会長)は3月26日、同地区の屋敷林と緑地をめぐるツアーを実施する。
下保谷地区の屋敷林と言えば、旧高橋家屋敷林(下保谷四丁目特別緑地保全地区)が有名だが、「作左衛門の森」と呼ばれる屋敷林は、旧高橋家屋敷林から都道を挟んだ北側、歩いて約3分のところにある。
「作左衛門」は髙橋家(現当主、髙橋孝さん)の屋号で、江戸時代に交代名主を務めた7家の1家。屋敷内にある主屋、土蔵、衣装蔵、納屋、表門は、いずれも築90年から100年以上たっている歴史的建造物で、2018年に国の登録有形文化財に指定された。
屋敷の東側の市道沿いは、手入れの行き届いたヒイラギモクセイの生垣で約65mも続いている。東京屋敷林ネットワークの樹木調査によると、屋敷林には73種類の樹木が茂り、直径50㎝を超える大径木は28本、高さ20m以上の高木も6本ある。特に、表門を入ってすぐ左側にある大ケヤキは推定樹齢400~450年、幹回り4.7m、高さは30mに達し、屋敷林の目印・シンボルともなっている。樹木の下には、都市近郊では見られなくなった希少な野草のイチリンソウ、ツルリンドウ、カタクリ、キンランなども自生している。
ツアーでは、屋敷林の歴史的、文化的価値、景観の大切さなどが学べる。参加者には、「愛する会」の会員で、東京農工大学名誉教授(植生管理学)の福嶋司さんが作成したパンフレットが手渡される。
パンフレットには、武蔵野の地形と開発の歴史、屋敷林や雑木林の成立に関する歴史的経過と林の特徴などが詳しく書かれている。屋敷林や周辺の緑地を散策しながら、樹木の解説をより深く理解してもらおうという心づかいだ。
ツアーは午前(10時30分開始)と午後(2時開始)の2回で、作左衛門の森から保谷北町緑地保全地域と下保谷・天神社をめぐり、作左衛門の森に戻って来る。所要1時間30分。午後の部は福嶋さんが同行し解説する。
「愛する会」の伴会長は「私と作左衛門の森との出合いは去年の5月、東京屋敷林ネットワークが行った樹木調査に参加した時のこと。屋敷林の樹木の大きさと種類の多さに圧倒された。樹木だけでなく、生垣や草花への行き届いた手入れに、屋敷林に対する当主の細やかな愛情を感じた」と話し、「国の有形文化財の主屋とそれを囲む屋敷林、付随する農地は一体のまま保存してこそ意味がある。西東京市が誇る、この素晴らしい屋敷林を後世に引き継いでいけるよう活動を続ける。みなさん、ツアーにぜひ参加してください」と呼び掛けている。
参加費は無料。募集人数は午前、午後とも各20人。先着順。
参加の申し込みは、以下のURL、または右のQRコードから。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfQ3RMC3DRKleJnMSu8M6kfXM_x0Sn9XDghcBM_p9E2GpKnkw/viewform
電話:090-8485-3965(伴)
ツアー当日は、髙橋家主屋の一部で「花結び展」が開かれる。ツアー参加者はこちらも見学できる。花結びについてのパンフレットももらえる。
花結びは、一本の紐を手で結び、四季の草花、蝶や鳥、紋の形に表現する、日本独特の優雅な伝統技芸。日常生活のさまざまな場面で活用され、現在でもアクセサリーやインテリアとしても広く親しまれている。展示される花結びは、髙橋家当主の妻・ふみ子さんの作品。
(鈴木信幸)
【関連情報】
・国登録有形文化財(建造物)の登録(髙橋家住宅主屋など)(西東京市Web)
・東京 屋敷林ネットワーク(HP)
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